Yahooニュースで以下の記事を見つけました。
北海道 上士幌町にある幻の橋 タウシュベツ橋梁の崩壊が進んで、橋上部がつながった状態はいよいよ見納めかもしれない、というニュースです。
タウシュベツはついこの間、ツアーで見てきたばかりでした。

たしかに写真の真ん中あたりは崩壊が進んで、ギリギリ繋がっている状態です。
北海道旅行の記事を書くのはしばらく先の予定でしたが、このニュースを見て、崩壊する前にタウシュベツに行きたいって人がいるかもしれないので、先に書いておこうと思いました。
目次
上士幌町 タウシュベツ川橋梁
タウシュベツ川橋梁というのは、上士幌町の糠平湖にあるアーチ橋です。
昭和14年に作られた橋で、昭和62年に廃線になった国鉄士幌線が走っていました。
昭和30年の糠平ダム建設で、糠平湖が作られることになり、タウシュベツ川橋梁が沈むことになったので、このルートは廃線になり、線路も撤去されたのですが、橋自体はそのまま放置されたんだそうです。
糠平湖の水位は、季節に応じて変化が激しく、橋全体が水没したり、姿を現したりすることから幻の橋と言われています。
最近コンビニでよく見かける、日本の絶景を集めた観光本を見ると、たいていタウシュベツ橋梁は掲載されています。
崩壊しないように保護しようって声もあるそうですが、財政的に厳しいため、そのまま朽ちていくことになるでしょう。
個人的には、補修するよりは自然に任せて朽ちていった方が美しいかなって思います。
滅びの美学っていうんでしょうか。
いつか確実に崩れるものなので、いまのうちに見ておきたいって思い、先月ツアーで行ってきました。
タウシュベツ川橋梁に行くなら、
でツアー予約することを強くおすすめします。
理由は、タウシュベツ川橋梁に行く途中にゲートがあり、ツアーなど許可された車両以外はは進入できないためです。
ゲートの前に何台か車停められるスペースがあるので、そこから歩いて1時間ぐらいでタウシュベツ川橋梁まで行けますが、この辺はヒグマがよく出る地域なので危険です。
最近、秋田県鹿角あたりで話題のツキノワグマもやばいですけど、ヒグマはもっとやばいです。
ばったり遭遇して、子熊がいたりなんかして襲われたらまず助からないです。
多少金払っても命には代えられませんので、ツアーで行きましょう。
費用は大人3150円、子供1550円です。
僕は4月中旬ごろに電話でゴールデンウィーク期間中の日程でツアー予約しましたが、案外余裕で取れました。
ツアーはいくつか種類があるのですが、私は旧国鉄士幌線アーチ橋見学ツアーに申し込みました。
4月末には花見巡りで、函館・松前あたりにいましたが、ツアーの日程が近づくにつれ、徐々に道東に移動をしていました。
ツアーの前日は、十勝地方に入っていて、池田町のワイン城で工場見学したり、帯広で豚丼食べたり、オソウシ温泉で人懐っこい秋田犬の襲撃を受けたりしたのですが、その辺はまたいつかブログに書きます。
前夜のうちに糠平温泉郷に前乗りして、ツアーの集合場所である糠平温泉文化ホールの駐車場で車中泊しました。公衆トイレもあるので助かります。
この辺はエゾシカが多く、温泉郷内を何頭も歩き回ってるし、駐車場にもいるし、夜中はずっと鳴いてて、うるさくてなかなか寝られなかったくらいです。
翌朝です。

車中泊した駐車場です。
右側の建物がトイレ。
左側の建物が、ツアー集合場所の糠平温泉文化ホールです。


文化ホールの入口です。
入口に並んでる車数台に分かれて乗車して、タウシュベツ川橋梁まで向かいます。

文化ホールの中です。
左側の受付で、ツアー代金を支払います。


資料や過去の写真が展示されています。
手前の長靴を借りて履きます。
道がぬかるんでいるので、長靴必須です。

2016年の時間経過です。
GW中の5/1はまだ雪解け水が流れ込んでいないですね。
5/23はもう橋のしたまで水が来ています。

6月下旬にはもうだいぶ水没してきてますね。

7月下旬~8月でどんどん水没が進んでいます。

8/4で完全水没です。
その後、冬を迎えると水が引いて、また橋が姿を現す・・ことを毎年繰り返しています。
昨年は水が多かったのか水が引き切らずに、タウシュベツ川橋梁の上に氷が張ってしまい、コンクリートを傷めたのが原因で、崩壊が進んだんだそうです。
それもあって、以下のような新聞記事が北海道内で先行して発表されたそうです。

ツアー参加メンバーが揃ったら、
長靴に履き替え、6人ぐらいずつに班分けされて、それぞれ別のワゴン車に乗ってタウシュベツ川橋梁に向けて出発です。
途中、ゲートがあるので先頭車両のガイドさんがゲートのカギを開けて、奥に進みます。
途中、林道というのかとても細い砂利道を突き進みます。
ガードレールなんかないので、運転ミスするとあっさり脱輪・横転します。
ツアーじゃなくて、個人で歩いてタウシュベツに向かう人たちが何組かいました。
みんなでっかい熊除けの鈴を付けて歩いてました。
20分ぐらい走って車を停めて、そこから歩いて向かいます。

こんな感じの流木だらけの道を進みます。

長靴必須の意味を理解しました。

ヒグマ出没の看板です。
看板中央の右側をよく見てください。

傷がありますよね。
ヒグマの爪痕です。
ヒグマがこの看板をぶん殴ったってことです。
こんな説得力のある看板は見たことが無いですね。
ガイドの方いわく、看板のヒグマの似顔絵が気に入らなかったんじゃないか?ってジョークを言ってました。
ツアー参加者は苦笑いです。

森の奥がひらけてきました。

分かりにくいかもしれませんが、
タウシュベツ川橋梁が目の前にあります。
真横から見たところで、奥に向かって橋が伸びています。
タウシュベツ川橋梁の真横の写真って、ネットでも見た記憶が無いです。

ちょっと斜めから見たところです。

糠平湖がカラッカラになっています。
湖の底がむき出しの時期は1年でもほんのわずかな期間らしく、レアなんだそうです。

湖底に降りたところです。

切り株とひび割れた地面と、遠くに見える大雪山系がたまりません。

まずは橋そっちのけでした。
ツアー中の自由時間は30分ぐらいだったかな。

この切り株は、糠平ダムが作られた昭和30年当時のものでしょうか。
それよりも前かもしれないですね。
腐らないもんですね。雪解け水のおかげでしょうか。
空っぽの糠平湖の風景それ自体がもう雄大です。

いよいよ橋の下にきました。
ちなみに、橋の下は落石で危険なので通れません。
反対側に行くためには、いったん丘に登って反対側に降りる必要があります。

この坂を上って、反対側に降りられます。

このロープの内側は立ち入り禁止です。

橋のすぐそばを雪解け水の川が流れこんでいます。
結構な勢いです。
長靴だから渡ってみようかと思いましたが、
底が泥で足を取られるのでやめました。


内側の石がこぼれだしてます。



人間を並べると橋の大きさがわかると思います。



自由時間の終わりが近づいたので、丘を登り橋の真横まで戻ります。
こう見ると両側の鉄骨が外側に広がっているのが分かると思います。
内側の石の重みに耐えられなくなってきているのでしょう。

ニュースでは、橋の上部が崩れて途切れそうって書いてますが、
もしこの鉄骨が広がりきったら、途切れるどころか橋全体が崩落してしまいます。

またチャンスがあるなら、今度は水没途中のタウシュベツを観に来たいなって思いました。
ツアー以外で、個人で来ている方々も何組か到着していました。
ここでご飯食べてる人がいましたが、ヒグマが匂いで寄ってくる可能性もあるので、ここで食事とるのはやめましょう。
雄大なタウシュベツの絶景を見ながらご飯食べたい気持ちは分かりますけどね。
車に戻り、タウシュベツを後にします。
次にツアーで寄ったのは、士幌線の幌加駅跡です。


ツアーガイドさん曰く、
この幌加駅付近が一番ヒグマが出るらしく、緊張するって言ってました。
ガイドさんは複数人いますが、全員クマ撃退スプレーに手掛けながら歩いてました。
幌加駅はタウシュベツ橋梁とは違い、道路沿いにあって誰でも立ち寄れちゃいますが、要注意です。
そんな土地に、昭和50年代まで人が住んでたんですね。
まぁ、知床の斜里町の方がヒグマ出ると思いますけど、いまでも人一杯住んでますからね。
北海道はそんなところです。

駅舎の跡や民家の跡が残っています。



線路の切替器です。
いまでも動かすことが出来ます。
僕もやりましたが、かなり重いです。
目いっぱい力入れないとダメです。
僕が申し込んだツアーは、タウシュベツ川橋梁だけでなく、
こういった駅の跡や、ほかのアーチ橋も寄って説明してくれます。
アーチ橋は車の中から見るだけでしたけど。
大体2時間半ぐらいでツアーは終わり、
糠平温泉文化ホールに戻ってきて、解散になります。
そのあと、自分でほかのアーチ橋巡りをしました。




当然、この辺もヒグマ出没地域なので、注意が必要です。

近くには、自然センターもあります。


なかなか見応えありました。
少し離れた場所ですが、タウシュベツ川橋梁を対岸から見ることが出来る展望台もあります。

道路から120mほど森の中を歩いたらすぐです。

距離は短いですが、こんな死角だらけの道を歩くことになるので、
人がいないときは注意が必要です。


展望台からのタウシュベツ川橋梁です。

粒みたいなのが次の枠を予約した人たちでしょう。
去年の10月に、この展望台に来たときはこんな感じでした。

完全に水没してるので、ただの湖です。

まぁ水没してるのは分かってたんですけど、どんな感じか見たくて行ってみました。

何枚か上の写真と同じ道です。
10月は紅葉が進んで綺麗でした。
同じ場所でも違う季節に行くと色んな顔が見られて楽しいです。
タウシュベツ川橋梁が水没してる時期は観光客が一人もいないので、クマよけの鈴鳴らしたり、手を叩いたり音出しながら歩きました。
そういえば、別のアーチ橋の駐車場で休憩してたら、このタウシュベツ展望台までの道を尋ねてきた家族連れがいました。
僕もちょうど展望台に行こうと思ってたので、車で先導しながら道案内してあげたら、お礼におむすびをもらいました。

聞いたら、タウシュベツが今年で見納めっていう新聞を見て、帯広市から来たんだそうな。
神奈川から来た俺が、近所の帯広の人を道案内するってのが何ともパラドックスを感じました。
人に親切すると、お礼におむすび貰えるってのが、日本昔話みたいでおかしかったな。
ちなみに中身は鮭でした。
鮭好きなので、余計嬉しかった。
こういった出会いも含めて素敵な思い出になりました。
上士幌町 NPOひがし大雪自然ガイドセンター 情報
名称 | NPOひがし大雪自然ガイドセンター |
---|---|
公式HP | http://www.guidecentre.jp/index.html |
住所 | 〒080-1400 上士幌町字糠平北区44-3 |
電話番号 | 01564-4-2261 |
ツアー費用 | 大人3150円 子供 1550円 |
ツアーの集合は、糠平温泉文化ホールになりますが、カーナビではヒットしないです。
Google Mapならヒットします。
後述の地図を見てもらえば分かりますが、糠平温泉中村屋の道路挟んで向かいにある建物です。
入口が道路の裏側にあるので分かりにくいですが、僕のアップした写真を参考に突き進んでください。
ツアーは季節に応じて複数コースあります。
詳しくは公式HPをご覧ください。
メールでも申し込み出来るようですが、電話予約した方が早いと思います。
親切なおじさんが応対してくれますよ。
上士幌町 NPOひがし大雪自然ガイドセンター 地図
ツアー集合場所の糠平温泉文化ホールの地図をご紹介します。
上士幌町 タウシュベツ橋梁 地図
まとめ
だいぶ長い記事になっちゃいましたね。
ほかのアーチ橋などの詳細は別途ブログに書きますが、
タウシュベツ川橋梁やツアーの様子をご理解頂けたんじゃないかと思います。
観光シーズンなら、ほっこりした出会いがあるかもしれませんよ。
山歩きとか慣れた人ならまだしも、慣れてない人がツアー以外で歩いて行くのは危険です。
秋田県のツキノワグマのニュースが他人事で済まなくなるかもしれません。
クマもかわいそうなことになってしまうので、油断しないようにしましょう。
ツアーの公式HPを見ると、まだタウシュベツは水没していないとのこと。
今ならまだ間に合いますよ。
来年も観れるとは限りません。
興味ある方はぜひ行ってみてくださいな。